食べる人のことを第一に考えるアオヤマの和惣菜作りに感動しました

日本惣菜協会相談役 小平昭雄氏

食の提案で有名なスーパーマーケット、ヤオコーの惣菜部門の系列会社・三味の元社長で、現在は日本惣菜協会相談役や惣菜サミット会長を務める小平昭雄氏。日本各地のスーパーマケットなどで惣菜の開発指導に奔走する、惣菜界の第一人者である小平氏に、アオヤマの和惣菜について聞きました。

アオヤマの和惣菜を知ったきっかけを教えて下さい。
私がヤオコーの惣菜責任者をしていた約10年前、知り合いの紹介でアオヤマさんの工場を訪問しました。どこの会社でも企業理念の中で「われわれは、こんなこだわりでお客さんにおいしい商品を作っています」と言っているんですけど、アオヤマさんは本当に、すべてに徹底的なこだわりを持っていて。本当に感動しましてね。それ以来、数回訪問し、アオヤマさんの商品を勉強させていただきました。
アオヤマのどのようなところに、感動していただいたのでしょうか?

お客さん目線のこだわりですね。例えば、原料のこだわり、製法から商品づくりの道具まで、食べる人のことを考えてこだわっています。家庭用鍋での調理方法もそうですが、出汁のこだわりもすごいですね。瀬戸内の伊吹産いりこで毎日出汁を取られています。

通常、作り手の論理からすると、どうやったら生産性、効率が良くなるかを考えます。作り手の都合で、すべての物事の組み立て、設計をするわけです。一方で、アオヤマさんは、お客さんにおいしいものを召し上がっていただきたい、と食べ手の目線で考えているんです。そこに感動しましてね。
惣菜というものは、「物」に「心」。「物」に、どれだけ自分たちの「心」を入れて作るかは大事なことなんです。「惣菜」を「総菜」と考えている会社もあります。「総」となると、単なる工業的な物なんですね。「物」に「心」をつけるということは、1品1品のこだわりにつながるんです。アオヤマさんの和惣菜は、心のこもったこだわりの一品でした。

確かに、アオヤマは家庭用の鍋にこだわって調理します。
その点については、どう思われますか。
アオヤマさんの1ロットの製造量は、せいぜい2~3キロですよね。普通、惣菜メーカーは1ロット50キロ、100キロと大量生産です。これは、作り手の論理で生産性、効率がいいから。客目線じゃなくて、自分たちの都合で惣菜の製造工程が組み立てられているわけです。1ロット50キロだと、大きな鍋で煮るので、どうしても、熱が均一に入らないとか、味が均一にしみないとか、いろいろ問題があります。2~3キロなら均一に熱が入って、均一に味がしみます。アオヤマさんは、おいしい商品を届けたい、ということを前提に商品づくりをされています。一般的な惣菜メーカーと考え方が違うんです。他のメーカーには、なかなか真似ができないことです。
ヤオコーでも家庭用鍋を取り入れられたとか。
実は、私もヤオコー時代、煮物惣菜を事業計画で検討していたタイミングの中で、アオヤマさんの工場を見て、今まで考えてきたことを全部否定しました。アオヤマ方式で1ロット2~3キロの小さい鍋で商品づくりを始めました。それがヤオコーでも、非常においしいと評判で、とてもよく売れたんです。
アオヤマの和惣菜は、スーパーマーケットなど小売業界の目には、どのように映るのでしょうか?

四国4県の中で、小売業は互いに競争しています。バイヤーは競合先で売っている商品は、自分のところでは売りません。商品がバッティングしたくないからです。でも、競争状態の小売業界の中で、アオヤマさんの商品はいろんなところで販売されているんですよね。これは、通常では考えにくいことなんです。たとえ競合先が販売していても、うちでもアオヤマさんの商品を売りたいと言ってくるわけでしょう。それは、アオヤマさんのすごさだと思います。

アオヤマの和惣菜は保存料を使いません。安全・安心でおいしい商品を、今後も作っていく上で、エールをいただけないでしょうか?
普通、惣菜は作り手から見ると、いかに日持ちさせるかなんです。お店の中でどれだけ長持ちさせるか。日持ちさせるために、添加物とか保存料をいれるわけです。おいしさを追求するよりも、いかに日持ちさせるかを考えるわけです。今は人出が足りないからと、どうしても工業型の商品を売り場に並べてしまう。作る手間暇、時間がとれないから、日持ちがする商品を売る方向にどんどん動いてしまっています。でも、添加物や保存料を入れて、日持ちをさせる商品をつくるような時代は、もう終わりました。いかに手間をかけて、いかに美味しいものを作るか考えていかないと、時代に置いていかれます。私は、アオヤマさんのやり方を続けていくことが惣菜の世界で生き残る道だと思います。今やっていることをさらに深め、進化させてくれることを期待しています。